東京、渋谷、道玄坂。
渋谷 ・ サイキック ・ リサーチ
Shibuya Psychic Research
瀟洒なオフィスビルの一角に居を構えるそこでは科学的かつ学術的見地から超自然科学、特に心霊現象と分類される現象を調査し、必要とあらば霊能者と呼ばれる者の協力を仰ぎ、異常現象を解決していた。
責任者は渋谷一也という若干20歳の男性。
類稀なる美貌と頭脳、殺傷能力の高い毒舌を持ち合わせた彼はそもそも超常現象の研究を生業とする人物で、その眼鏡は酷く傲慢で理不尽。
商業目的ではないことを盾に、彼は自分にメリットのある事例ばかりを優先的に選出し、仕事としていた。お陰で事務所は基本的に客足が増えることはなく、携わる人間も限定されているマイナー・スポットとして、都会の喧騒から一線を期して存在していた。
#001 調査依頼
本部からの紹介でその老人が渋谷サイキック・リサーチに顔を出したのは、11月初頭、酷く風の強い木曜の午後だった。「初めまして、内郷と言います」
杖をつき、片足を引き摺るようにして現れた背の高い初老の男性はそう名乗ると、ごく上品に微笑んだ。そうして薦められたソファに腰を下ろし、麻衣が出した紅茶に口をつけると、ふっととても嬉しそうに顔を綻ばせた。
「いいですね。きちんとした手順で入れられた紅茶というのは」
「え?」
思わず聞き返した麻衣に、内郷は糸のように細い目をさらに細めて微笑んだ。
「あなたが淹れられたんですか?とても美味しいです」
「あ、ありがとうございます」
ほんのりと頬を染める麻衣に、内郷はにこやかに頷いた。
「もう50年も前になりますが、僕は大学のドクター過程をイギリスで過ごしたんです。当時は英語なんて全く喋れない若造でしたが、毎日パブに出かけては誰かれ構わず話しかけて言葉を覚えたものです。専門は郷土社会学で、留学先の大学では郷土学の基礎を学びました。帰国後は日本で郷土研究をしつつ大学で教鞭を取っておりましたが、3年ほど前に足を悪くしましてね。これ、この通り、今では杖が無くては移動もままならなくなりました。年も年でしたので、それを期に教職は引退して現在は楽隠居の身です。けれどその留学以来、何かといえば英国びいきで・・・・教員時代はティータイムの為にできるだけ10時と3時の講義は受け持たないように画策したくらいなんですよ。今でも2年に1度は昔の知人に会いにイギリスに訪れるようにしています」
抑揚の少ない、それでいて飲み込まれそうな不思議な口調でゆったりと語る内郷に対して、正面のソファに腰を下ろしたナルは、普段となんら変わることのない淡々とした口調で今回、内郷を紹介した母国の関係者の名前を口に出した。
「プロフェッサー・テイラーともその時に?」
ナルがその名を口にすると、内郷は嬉しそうに目尻を下げた。
「ダニエル・テイラー。彼も古い友人です。彼が専攻している宗教学と、僕が専攻している郷土学は深い関わり合いのある分野でしたので、昔はよくそれぞれの家で論議をしたものです。彼がSPRの会員になった時のこともよく覚えています。それ以降、彼らにとって冬の時代もありましたが、それで僕達の絆が綻びるようなことはありませんでしたよ」
暗に、SPRの暗い歴史を語る老人に、ナルはちらと視線を這わせたが、それは聞き飽きたとばかりに肩を竦め、その話題を軽く流した。
「それで、今回はどのようなご用件で日本支部へ?」
「ダニエルからはどのようにお聞きですか?」
「調査をするようにと指示があっただけで、ほぼ情報は提示されておりません。支部長と言えど僕は会の中では新参者ですので、指示があればそれに従わざるをえない。何か言っていたかもしれませんが、生憎お年を召した方のお付き合いとやらには疎く、暗喩を図る技量もないもので」
慇懃無礼なナルの態度に、内郷は驚いたように眉を上げたが、それからすぐ愉快そうに笑った。
「申し訳ない、ダニエルは随分無茶を言って君にお願いしたんだね」
「・・・・」
「いや、素直でよろしい。サー・ドリーから聞いていた通りだ」
ふいに飛び出した自分をバックアップするSPR重鎮の名前に、ナルは僅かに眉をひそめた。
「・・・・ご面識が?」
「僕も君の苦手とする年寄りの一人ではあるからね。人脈だけはありがたいことにとても広い」
悪びれることもなく内郷はそう言い放つと、抱えてきた大きな皮のバッグから古びた本3冊、小冊子2冊を取り出し、テーブルの上に広げた。
「それでは最初からお話しましょう。これは僕の著書で、今回の依頼に関係のありそうなものを抜粋してあります。差し上げますので後ほど読んでみるといい」
内郷の言葉にナルは僅かに頷き、応接室脇のデスクに控えていた安原と麻衣に目配せした。
「失礼ですが、記録を取らせていただきます」
ナルの宣言と同時に安原と麻衣はすばやく応接セットに腰を下ろすと、安原は内郷が差し出した資料を手に取り、麻衣は傍らでボイスメモを動かしながら自身でもメモ取るべく筆記用具を準備した。その一糸乱れぬ対応に内郷は愉快そうに手を叩き、まるでスパイ映画のようだと、無邪気に喜んだのだが、それでもナルの無表情は変わらず、内郷は興をそがれたように笑みをひっこめ、代わりに最も気安そうな麻衣に視線を転じてにっこりと微笑んだ。
「あなたもここのスタッフなんですか?」
「あ、はい。アルバイトの谷山と申します。よろしくお願いします」
「大学生?」
「はい」
「いいですねぇ、最も楽しい時期です。ここで自分の専門を絞り込み、それに特化できる環境を作るためにはどうすればいいか、がむしゃらに頑張る時期です。若い頃は金もなく、立場も弱く、大変なことも多いですが、そこをいかに過ごすかでその後は大きく変わりますからね。頑張って下さい」
通常の依頼者とは全く異なる視点で自分達を分類しようとする内郷に、麻衣は面食らって言葉をなくしたが、あまりに悪意なく微笑むご老体に乱暴に反論するのも申し訳ないような気がして曖昧に言葉を濁した。それをどのように取ったのか、内郷は満足したように頷き、今度はまるで学生に教える教員のような口ぶりで、調査対象について語り始めた。
「お願いしたいことは、姫乃島という離島の調査です」
内郷は持参した本の一冊を広げ、まるで厄介な古文書でも読むように目を細めて冊子に視線を落としながら説明を始めた。
「周囲およそ12キロ、面積5平方キロメートルの小さな島です。本州からは週に2回定期便の船が出ていますが、それでも片道5時間かかります。しかも潮の流れが急でそれもよく欠航になるので、本当に孤島と称していいような場所です。こうした島には独自の文化が根付き、独特な信仰が生まれることが多い。僕の研究は正にそうした土着信仰とその地方の生活様式を観察するものですから、姫乃島もその調査対象の一つでした。とても興味深い信仰が根付いている島です」
視線は本にあっても内容は既に頭にあるのだろう。内郷は全て暗誦していかのるようにすらすらと答えていった。
「姫乃島には活火山の山が島のほぼ中央部にあり、南地区の地面を掘れば温泉が湧きます。その地熱の関係か周囲の海は魚が多く、高低差はありますが、肥沃な土地にも恵まれておりました。その恵みを島民は古来より姫神の恩恵と敬っていました」
「ひめがみ?」
耳慣れない語句を繰り返す麻衣に、内郷はかつて教え子にそうしていたのだろう、一拍、麻衣に考えさせるように間をおき、それから口の端をゆるめ、もったいつけて答えを教えた。
「島の巫女の家系の女性が代々受け継ぎ、奉ってきた土地神です。原則的には先祖霊と自然を奉るタイプの信仰です。島の信仰形態としては独自のルールはあるものの、比較的ポピュラーな発生源の信仰と言っていいでしょう。姫乃島はその姫神の加護を十分に受け、周囲の海も土地の実りも豊かで・・・・僕が初めて島を訪れた40年前は本当に自然豊かな素晴らしい島でした」
内郷はそこでため息をつき、開いたページに載っていた、ひらがなの「く」の字のように細く長い形をした島の白黒写真の上を名残惜しそうに指でなぞった。「けれど今から17年前。この島は大津波の被害を受け、そのおおよそを損ないました」
震度6弱の激しい地震の後、僅か数秒後に島に到着した大津波は島の財産や多くの島民の命を一瞬のうちに奪った。海岸沿いの家屋に漁船を始めとする船、貴重な車、船着場周辺に点在していた僅かな店舗、ガソリンスタンド、そして子供4名を含む合計21名の命が海の藻屑と消えた。
「当時のことは新聞にも取り上げられましたが、それは酷い有様でした。しかも津波の原因が島周辺の火山帯の火山活動だったため、その地殻変動の影響から土壌変化を誘発させ、肥沃だった大地と周囲の海は一気にその実りを失った。財産を失い、生活の糧を失った島民が島を離れるという判断を下したのは、常識的に考えて仕方がなかったと思います。それしか生き残る選択肢はなかった。そうして最大時は200名あまりもいた島民のほとんどは姫乃島より他の土地に移り住み、現在島に残っている住民はごく僅かです」
内郷はそこで言葉を切ると、一瞬躊躇うように視線を彷徨わせ、それから引き摺っていた方の足を擦り、ため息をついた。
「これから言うことは、俄かには信じがたいようなことです」
「・・・・」
「僕もつい最近まで知りませんでしたし、相談されても直ぐには信じることができませんでした。正直な話、未だに半信半疑と言わざるを得ない。けれど、私に相談を持ちかけた島民にとってはこれが現実で・・・・本気でそのように信じている。だからこそ、信仰深く、土地に並々ならぬ愛着を持った島民がこのように島離れを起こした」
明らかに歯切れの悪くなった内郷に、それまで沈黙のまま話を聞いていたナルは僅かに顔を上げ、抑揚のない声で返事を返した。
「どのような非現実的なお話でも構いません。それが事実か虚構か、それを調査するのが研究の第一歩です。あなたがプロフェッサー・テイラーに相談したのは、SPRの主旨をそのように理解されているからではなかったのですか?」
淡々としたナルの口調に、内郷は目を見開き、詰めていた息を吐き出すと、何かを追い払うように頭を振り、膝に乗せていた手を組み直した。
「それもそうだ。だからこそ僕はここまで来たんだった」
「・・・・」
「偏見を持つわけではないが・・・・すまんね。僕はこういったことに慣れていないんだ」
内郷はそう言うと、曲がり始めていた背筋を伸ばした。
「この島の慣習では、20年に1度、神事の一切を取り仕切る巫女が母から娘に代替わりします。姫乃島の巫女は古来より世襲制を維持していて、代替わりは正月・・・・と言っても暦は太陰暦を使っていますから、旧正月になるのですが、その時に行います。それでそれが実は・・・来年の2月5日に行われます。けれど、もうこの島には神事を引き継ぐ次の巫女はいないそうです。そのため実質上、この島の信仰はこれで最後となります。そこで、最後の巫女になる女性から、これまで密かに守り伝えられていた神事と、自分の代になってから起こった様々な異変を何らかの形で残しておきたいと、相談されたのです」
「異変?」
耳聡く聞きとめたナルに内郷は頷き、そっと視線を外した。
内郷はそこでも僅かに躊躇い、それから意を決したように顔を上げ、まるで黒板を前にした教師が板書しながら説明するように、ゆっくりと語り始めた。
異変の兆候は現在の巫女が神職についた20年程前、人気のない場所で気味の悪い人影が度々目撃されたことだった。
当初は島民の中でも霊感が強いと言われるような者が時折影のようなものをちらりとその影を見かける程度のものだった。その為、元より信心深い島民はそれをあまり特別なものとしては考えず、きっと自分達を守ってくれる祖先の霊や神様の姿だろうと好意的に解釈していた。しかし年をおうごとにその出現の頻度は増し、場所も島の外れから民家の側まで範囲を広げた。
人魂や人のいないはずの場所から聞こえる話声や足音などは日常茶飯事で、特に本来であればそういった怪かしを祓うはずの巫女が中心となって神事を行う行事が近付くとその頻度は増していき、島民をより一層混乱させた。
そうして発生した大津波を契機に、その現象は吉兆から凶兆のそれと意味を一変させた。
失われた幸福だった時間。
荒れていく肥沃だった大地。
無残にも枯れた、豊漁を約束してくれていたはずの海。
島民の意識の中には、この島は姫神に守られているはずなのにどうしてこんな惨いことがおきるのかという、当然と言えば当然過ぎる疑問が湧いた。そうして、漫然と広がる不安に対して、島民が導き出した答えもまた簡潔だった。
きっと姫神が怒ったのだ。
きっと姫神はこの島からいなくなってしまったのだ。
それでこのような幽霊が島を出歩くようになってしまったのだ。
それがこのような惨い不運を運んできてしまったのだ。
だからこそ、巫女の祈りが届かないのだ。
そうして生まれた根の深い恐怖心と猜疑心は、信心深いがゆえに酷く切実な話として島民を追い詰め、結果として島民の大量流出を招いた。
「人間、誰しも生まれ育った土地を離れるのは嫌がります。特に変化を嫌う年寄りなどはその傾向が強い。たとえ当面の生活の糧がなくなるなど、どんなに困難な状況になったとしても、こうした住民は先祖の土地から離れたがらないものです。けれどこの島の島民は津波を始めとするその異変を祟りと恐れて島を離れました。そして、それ以後も延々と続く幽霊騒ぎに、かつての島民も今ではすっかり足が遠のいていて、島の神事として最も重要な正月の祝いにも今では人が集まらず、盆の墓参りにぽつぽつ戻ってくるだけになってしまったそうです」
沈うつな表情の内郷に対して、ナルはさして興味を持った風でもなく、無表情のまま問いかけた。
「そこを調査し、原因究明の後、正常化させようということでしょうか?」
ナルの合いの手に、さもありなん。と、内心で麻衣と安原は頷いたのだが、しかして、ナルのこの問いに内郷は首を横に振った。
「いいえ、今回の依頼主は島の状況の記録だけです。問題の解決は望んでいません」
それから小馬鹿にしたように、内郷は低く哂った。
「姫巫女ができなかったことを他の土地の人間が解決するなんてありえない」
不機嫌そうに沈黙するナルに対して、内郷はそういうものですよ。と、独り言のように呟きながら、ふっと瞳の力を抜いた。
「これはきっと罰だから、解決なんてしない方がいい。許されるなら、きっと姫神は巫女を受け入れ、何らかの方策を与えてくれているはずなんだから、というのが、現地の人間の考えです。欧米の方には受け入れがたい考え方かもしれないし、僕だって極めて消極的な考え方だとは思うけれど、自然を畏怖し、受け入れることによって成り立っていたコミュニティーにはままある考え方です。それを乱暴に是正していい権利は誰にもない。土地のことは土地の者の考えを尊重するべきだ」
そして、内郷は顔を顰めながらため息をついた。
「ただ、自分が神職を辞めればすっかり信仰の伝統がなくなってしまうのは忍びない。そこで島の伝統や今現在起こっている異変をできるだけ正確に残しておきたいというのが、この巫女の願いです。それでできるなら信用のおける人に記録を取って欲しいと、随分昔、もうかれこれ25年も前になるのですが、島の暮らしを聞いて回っていた僕のことを思い出し、連絡がきたのです。曲がりなりにも大学教授で、僕は巫女から見ると彼女のおばあちゃんと仲が良かったので信頼されたのかもしれません」
内郷は懐かしむように目を細め、それから自嘲気味に小さく笑った。
「けれど自分はこの足だ。島は山が多くてね。斜面ばかりで、この足でそこを行き来するのはかなり困難なんだ。それに・・・その・・・・心霊現象と呼ばれるものは・・・はっきり言って専門外で、どのように記録すればいいのかも分からない。それで相談を受けたものの、正直手をこまねいていた。そもそもそんな幽霊騒ぎを記録しようなんて考えたこともなかったからね。そんな時にふとダニエルのことを思い出したんです。彼ならばこういった現象を端から否定せず、検証し、記録するのに最も有効な手を知っているに違いないと連絡を取った。そしてこちらを紹介して頂いたというわけです」
内郷の弁明に、僅かにナルは首を傾げ頷いた。
「20年以上も続く島全体の怪奇現象。確かに、その話が本当であれば、こちらとしては実に興味深い研究対象です」
ともすれば、非常に無礼な物言いではあったけれど、内郷は明らかにほっとしたような顔で頷いた。
「もともとそういった土着信仰は秘密主義が多く、サンプルが少ない。実際のところ、姫乃島の信仰についても、僕が最も親しくさせてもらった25年前も碌な話はきけなかったんだ。こうしたチャンスは少ない。最大限に活用するべきだと、ダニエルも乗り気だった」
「・・・・・・そうでしょうね」
紳士然に見えて、彼もどこか常識外れな研究者であるのだろうか。と、横で会話の記録を取っていた麻衣は内心で眉を潜めたが、ナルと内郷は構わず会話を続けた。
「機材等の費用についてはプロフェッサーからの支援が打診されていますが、その他必要経費についてはその依頼主負担で構いませんでしょうか?」
「そうだね。それに寝食については残った島民が提供するよ。謝礼は僕から出させてもらおう」
「電気等については」
「水道、電気、ガス、電話は昭和20年に整備され、下水道も昭和60年に整備されている。最も嵐が来るとそのほとんどが使い物にならなくなるけど、電気は自家発電があるし、井戸や竈も残っているから心配は要らないはずだ」
「それで我々は調査に入り、調査過程でヒアリングした信仰に関わる事項は」
「僕にフィードバックしてくれればいい」
「異常現象が記録できた場合、それをこちらが研究対象とする了解は?」
「もちろん了承済みだ」
「調査期間は?」
「先方は神職の期間が終わる2月5日前後を希望している。雪深くて大変だろうけど・・・20年に1度のそこでも最大のイベントだ」
「では、2月1日より一週間をめどに調査に入るということで宜しいでしょうか?」
「ちょうどいいんじゃないかな?1度、僕から先方に話を通してみるよ」
内郷はそう言うと、くたびれたバッグの中を漁り、一枚の名刺を取り出しナルに手渡した。
「島の村長というか、取りまとめ役の家も巫女の家系と同じく係累で受け継がれていてね。今現在島には住んでいないらしいが、順当にいけば島の村長になっていた人が今回の調査の窓口になる。詳細は彼に聞いてもらいたい」
そう言って内郷が手渡した名刺には、上質な紙にシンプルな文字が品良く並んだ横に手書きでプライベートのものと思われる携帯電話の番号と、いくつかの連絡先が書き込まれてあった。
++++製薬会社 ***部 係長 村主 朋樹 Suguri Tomoki
それを見るとはなく眺めながら、ナルは無表情のまま僅かに口の端を釣り上げ頷いた。